食品ロスから生まれた豚肉づくり

(株)KREAM観音池ポーク取材チーム

経済効果と環境への貢献

前編では、エコフィードが肉質に与える影響について紹介しました。本編では、その技術がもたらす社会的な価値について紹介します。

エコフィードの活用は、経済面と環境面の両方において大きな効果をもたらします。

まず、飼料費の削減という直接的なメリットがあります。低コストでの飼料供給が可能となることで、養豚経営の安定化に寄与します。

さらに、肉質の向上によって付加価値の高い商品づくりにつながる可能性も示されました。コスト削減と品質向上の両立は、生産者にとって大きな意義を持ちます。

観音池ポークでは、月間82トンの食品残さを飼料として再利用しており、年間では約980トンの廃棄物削減につながっています。食品廃棄物を資源として循環させることで、環境負荷の軽減にも貢献しています。

食物残さを利用して作られるエコフィード

食物残さを利用して作られるエコフィード

なぜ、エコフィードが求められるのか

近年、食品ロス問題や環境負荷低減への関心は世界的に高まっています。また、穀物価格の上昇や為替変動により、輸入飼料に依存する畜産業は不安定な状況に置かれています。こうした背景の中で、国内で発生する食品資源を有効活用するエコフィードは、持続可能な食料生産の手段として改めて注目されています。輸入に頼らない飼料の確保という観点からも、その重要性は今後さらに高まると考えられます。

共同研究の成果を受け、観音池ポークではエコフィードの実用化が進められてきました。現在もその活用は継続されており、安定した品質の豚肉生産に活かされています。

本研究では霜降り豚肉の生産技術が検証されましたが、現在は特定の銘柄としての展開ではなく、得られた知見をもとに肉質全体の向上を目的とした飼養管理に応用されています。

エコフィードは食品残さを原料とするため、成分が一定ではありません。そのため、安定した品質を維持するには、配合バランスの調整や給餌管理が重要になります。観音池ポークでは長年の実践を通じてこれらの技術を蓄積し、現場に即した最適化を行っています。

エコフィードの研究で得た知見を生産現場に生かしている

エコフィードの研究で得た知見を生産現場に生かしている

あたらしい畜産モデルとして

本研究は2000年代に実施されたものですが、エコフィードの活用は現在も継続されており、現場の技術として定着しています。前述のように観音池ポークでは現在も月間80トン規模でエコフィードを活用し、食品残さの再利用を行っています。これは環境負荷の軽減だけでなく、持続可能な生産体制の構築にもつながっています。また、研究で得られた配合バランスや栄養設計の考え方は、現在の飼養管理にも活かされており、安定した肉質づくりの基盤となっています。

観音池ポークにおけるエコフィードの取り組みは、単なる飼料の選択ではなく、ものづくりの考え方そのものに関わっています。食品として役割を終えたものを資源として循環させ、その中から新たな価値を生み出すこと。この考え方は、地域資源を活かした持続可能な農業のあり方とも重なります。

エコフィードは、「食品ロス削減」、「資源循環」、「品質向上」を同時に実現する取り組みです。観音池ポークの実践は、これからの畜産のあり方を示す一つのモデルとして、今も進化を続けています。

エコフィードをはじめ、生産の改良・改善を続ける観音池ポーク

エコフィードをはじめ、生産の改良・改善を続ける観音池ポーク

 

参考文献:『銘柄豚肉生産のための食品残さ飼料(エコフィード)活用技術の開発』
有限会社とんとん百姓村(現・観音池ポーク)、宮崎大学農学部、宮崎県畜産試験場川南支場、宮崎県北諸県農業改良普及センター/代表研究者:宮崎大学農学部 入江正和,2007